金髪王子2

「べつにケンカなんてしてねーよ」


私が答えるより先に、大輔くんが口を開いた。


「ただ、栞が聖慶の見学に来るってことは、聞いてなかっただけ。
でも、今日だって、栞は女友達と一緒に来るはずだったのが、そいつが熱出して来られなくなっただけで、栞は悪くない」


えっ、大輔くん、私をかばってくれてる?


「いや、あの、やっぱり私がひとりで来ちゃったのが、いけなかったんです。
ご迷惑をお掛けして、すみませんでした」


慌てて高部先生にもう一度頭を下げると、高部先生は「そうじゃない」と私の頭をクシャッとなでた。


その声に顔をあげると、やれやれといった表情で、私たちを見ている。

< 379 / 519 >

この作品をシェア

pagetop