部活探偵のツンデレ事件簿－タイム・トリッパー殺人事件－

亜矢子と琢磨は直子が廊下の角を曲がって姿が見えなくなるまで目で追いかけてから二人で顔を見合わせる。

そして亜矢子が小さく肩をすくめて見せたところで琢磨は、はっと何かに気がついて直子を追って廊下を全力で駆けだした。

そして直子が曲がった廊下の角まで行き、奥の様子を見て、その場に立ち止まった。

そこに直子の姿は無かった。

琢磨は亜矢子に向き直ると髪の毛をかき上げる仕草をして見せてから、彼女の方に向かって歩きだした。

「何よ、急に……」

「ん、いや、ちょっと……」

琢磨は亜矢子の目の前で腕を組み視線を落として何かを考え込んだ。そしておもむろに理事長室に視線を移すと、無言で中に入って行った。

「ちょっと、待ちなさい、何よ……」

慌てて亜矢子もその後に続く。