甘く、優しく、ときには苦く

外科の医局へ向かう途中

私はエレベーターを待っていた。


ピンポン

耳の遠い人でも聞こえるように、やけに大きい音が鳴る。



エレベーターが開いた・・・



「あ!」

中に乗っていた人物を見て驚く。

相手も一瞬目を見開いた。


「ふ、藤岡先生!」

彼の顔を見ると、昨日してしまったことへの羞恥がよみがえる。


「ど、どうも・・・・」


私が少し俯いていると、彼はそれだけ言って去って行った。



・・・え?

なんだか、私から逃げたみたい。
目も合わせてくれなかったし。


彼が横を通ったときに、ふいに漂ったシャンプーのにおいだけが残っていた。






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