甘く、優しく、ときには苦く
「おっせーぞ!樹ちゃん。」
「すいません。」
さっき、エレベーターに乗っていたのも、すべてこの人のせいだ。
要は、原成先生にパシられていたんだ。
しかも・・・理由が納得できない。
『昨日、おまえばっかりモテてムカついたから』
俺はモテたつもりはないし
それにムカつくんだったら、どうしてわざわざ連れて行ったんだよ。
不満をぶつけることもできず自席について
午後から回る患者のカルテを眺める。
そんなに要注意の人はいないようだ。
でも、だからといって気をぬいてはいけない。
俺は医者だ。
患者さんのどんな変化にも一番に気づかないと!
まぁ、結局いつも看護師の方が先に気づくんだけど。
しょうがないか。一番接している時間が長いんだし。
「俺、そろそろ回診行ってきます。」
「お!樹ちゃん早くない?」
「やること、ないんで。」
それに、ここにいたら、またあなたのパシリに使われそうなので。