甘く、優しく、ときには苦く
「みなさん、回診ですよ~。」
石崎さんが、俺が部屋に入る前に声をかける。
俺は頭をさげてから部屋に入り
いつもどおり、右手前のベットの患者さんから診てまわる。
「こんにちは、岡田さん。」
岡田さんは、軽い肺炎。
「藤岡先生!相変わらずイケメンですね~。
うちの孫の婿に来てほしいわ!」
回診のとき、いつもこういわれる。
「ありがとうございます。
でも、お孫さんが嫌がるんじゃないでしょうか?」
確か、高校生だったよな。
30近い俺なんて、嫌だろう。
「そんなことないですよ。
今度孫が見舞いに来るから会ってあげてください。」
「ぜひ。では、聴診器あてますね。」
「はいはい。」
岡田さんは、そう言って体の力を抜く。
「はい、いいですよ。
異常はありませんね。」
でも・・・・
なんだか、少し体温が高い気がする。
「苦しいとかありますか?」
「大丈夫です。」
「そうですか。それでは、僕はこれで。」
「ありがとうございました。」