アダルトチルドレン
パニック2
それから、何もかも制限された気分がして、感情を爆発させながら生活していた…。

馬鹿みたいに、2、3時間歩いてみたり、よろけながら酒をのんでみたり…

杏里は自分の病気を病気として自分で受け止められずにいたのだ。

丁度、パニック障害になる前くらいに家族に何かしてあげたくて韓国旅行を計画していた。

当時はこんな事になるとも思ってもいなかったので、お金も自由に使える余裕があったし、家族分すべて入金も終わっていたし、後は旅行日を待つだけになっていた。

医者は飛行機などで発作が起きやすいからあまり旅行に行く事を進めなかったが、自分が行くと決めたのもあったし、自分のせいで家族皆が旅行に行けなくなるのも嫌だったので、
「どうにでもなれ」
という気持ちで旅行に行く事にした…。


普段のあたしなら、下調べや計画を練るのが大好きなのに、何もやる気が起きなかった…


計画当時はあれかって、これかってと計画を練っていたが、今現在、あたしはその頃と環境がかわってしまったんだ…。

自由に使えるお金にも限りがある…減る事はあっても増える事はないお金…

先の見えない不安で押し潰されそうだった…。

服を買ったりネイルもしたいがお金のかかる事は避けた。

美容院も怖くて行けず、人生初めて1000円カットにいってみた…。

周りは子連れのお父さんやおじいちゃんの中にぽつりと杏里がいて、なんかおかしかった…。

たかが店で10分待つだけなのに緊張でやばかった。

呼ばれて、何でこんな子がという表情で店員さんが見るので、

「パニック障害で長時間同じ場所にいられないんです…」
と話した。

すると、
「友達にもいるからわかりますよ…」
その一言でだいぶ気持ちが楽になった…。

目に見えない病気だから理解されにくい。
だけど、少しでもこの病気を理解してくれる人がこの空間にいてくれると思うだけで安心して髪をきって貰えた。

ちゃっかり、髪がきれた事に自信がつき、弟が付き添ってくれると言うのでカラーも違う美容院で予約した。
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