夢色そよ風
ねぇ、あなたは今私を見てる?
こんな私を見てるの?

私には見えないよ。

なんで連れてってくれなかったの?
どうして独りぼっちにしたの?

思いは自然と溢れだして、
自然と口から音になって、
こぼれる。

私の髪を優しく撫でた風が私の声を浚ってく。
私はそっと風に歌を乗せて送った。
何度も何度も風に乗せて。

あなたを思った。
私を措いて旅立ったあなたを。

風が優しく涙を拭う。
どこから来たのか、新しい君が私の音を連れていく。

「キレイな声だね。」

そう、君が言った。
優しい声だった。

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