月夜の天使
月野いずみは一瞬長いまつげを伏せたが、すぐに顔を上げ加奈を見た。

そして淡々とした口調で語り始める。

加奈は息するのも忘れて月野いずみの言葉に聞き入った。

「あなたは月の落とし子。何百年も昔の話。月には確かに生命がいたわ。人間とは違う能力をもった生命。その中には自然を操るだけでなく、生命をも司る能力をもつ唯一の者もいた。月の生命が滅びに瀕した時、絶滅を怖れた一族の者によって、生き残った者と、その唯一の者の種が地球に落とされた。」

「唯一の者、それがあなた、カナンだった」

カナン・・・十夜も私をそう呼んだっけ。

それが、私のほんとうの名前…。

「私たち月の一族は人間の中に種を宿し、ひっそりと生きていた。カナンの生命を力づける強い能力で私たちは生き延びた。カナンがいなければ、私たちは絶滅していたわ。そこへ、奴らが現れた」

奴ら・・・瑞樹たちが怖れてる何か。

加奈はコクンと喉をならす。

「月にはもう一つ、一族が存在したの。彼らは、ある能力をもっていたために、隔離された生活を送っていた。月の一族が絶滅に瀕した時、彼らはそれを機に、地球へ逃げ延びた。」

「カインの一族だよ。」

十夜が話し始める。








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