Summer memory
それから数分が経ったとき、ようやく目的地に着いた
シューっと空気が抜けるような、そんな音を鳴らして電車の扉が開いた。
「重くない?」
兄のちひろが私の持っている荷物を指差した。
「平気。」と、軽くその手をはらったのだけど、ちひろはそのまま私が肩に掛けているエナメルバックに手を伸ばして、ふわりと奪っていった。
「平気だって言ってんのに。」
そんな私のひねくれた言葉は無視して歩きだすちひろ。
私はそのあとを追った。