群青ホームラン
『あー全然相手にされなかったよ。あ、でも冷たくじゃないよ?みんなが心配するから戻ろうって』
俺は心底バカだ。冴木が冷たく長崎を扱わなかったのは俺のため。
俺が長崎のことを好きだって知ってたから、邪険にすることもしなかった。
やっぱり冴木はあの頃からいいヤツのままだ。
そしてそんな冴木を少しでも疑ってしまった俺は最低最悪。
こんな俺じゃ物語の主人公にもなれねーし、誰かのヒーローにもなれやしない。
次の日、俺は速攻冴木に抱きついた。
「ごめんな冴木。お前はいいヤツなのに俺は……」
「は?なに?つーか気持ち悪い」
冴木に昨日の事実を打ち明けると、案外拍子抜けの反応が返ってきた。
「あーあったね。そういえば」
冴木は常にモテてるから長崎の誘いなんて、すぐに忘れてしまったんだろうな。
「俺さ、お前が長崎とその……そういう関係になったのかと疑ってしまって……」
冷静に考えればありえないって分かるのに。
「竹田、お前気にするところ間違ってる」
「へ?」
「そんなことより、なんで長崎が今さらそのことを自白したのかを考えれば?」