パシれメロス【短編】
潜んでいた誰かは僕から遠ざかる方へ逃げて行き、見回りもソイツを追いかけて走る。

見回り達は僕のすぐそばを駆け抜けて行ったが地面と一体化している僕には気付かない。

チャンス!

逃げる者と追う者達が十分に離れてから一気に飛び出してフェンスを越えた。

脱柵成功!

速やかに迷彩を落としつつ学校から離れる。

背後からは図らずも僕の囮になってくれちゃった生徒が捕縛されたらしく

「仕置きはイヤだ~」

とか

「見逃してくれ!見逃してくれたら世界の半分をやろう!」

とか言って命乞いする声がわずかに聞こえた。

僕は心の中で感謝の言葉をかけつつヤキソバパンを目指してアスファルトを蹴った。

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