キミを想う。



帰りの電車で、ドアに寄りかかる私の隣に立つユキくんは、電車でも若い女の子からの視線を集めていた。



「昨日、途中で帰ったこと、あの友達に何も言われなかった?」


「菜々ちゃん?大丈夫です。家についてすぐに体調が悪くなって先に帰ったと連絡したので。菜々ちゃんは三和くんやタケくんにちゃんと送ってもらったみたいなので良かったです」


「ふーん…」


やっぱり他人に興味がないのでは?と思う返事のユキくんに苦笑してしまう。



「……なんで郁斗?」


「何が?」


急に瀬野くんの名前が出てきてドキッとする。



「どこがいいの?」


「えっ?」


ユキくんの質問の意味が分からず、言葉に詰まっていると、ユキくんの質問が続いた。



「優しいから?」


「え、えっと…」


ユキくんの質問の意図が分からない。


だけど自然と言葉が出てきた。



「高校に入って初めて出来た"友達"なんです」


「初めて?」


「うん…。私、声小さいし、自分から話しかけられないし、菜々ちゃん以外の友達がクラスに出来なくて。でもある日瀬野くんが、定期を落として」


話ながらその時のことを思い出す。




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