キミを想う。



「瀬野くん達、見た目が派手だから怖かったんですが、思いきって声かけたら、なぜか"声が可愛い"って言ってくれて…。偶然行った屋上でも三和くん達に"友達"って紹介してくれて、凄く嬉しかったんです」


「…屋上って俺と初めて会ったときのこと?」


「あ、うん!ユキくんと初めて会ったのもその時だね」


そう思ったらたった3ヶ月で色々あったな…と感慨深くなる。



「ユキくんも、ちゃんと私の小さな声を聞いてくれて嬉しいです」


瀬野くんや菜々ちゃん以外にちゃんと私の小さな声に耳を傾けてくれる。


そんな些細なことが嬉しくて自然と顔が綻ぶ。



「…聞くよ。あんたの声なら。どんなに小さくても」


じっと真剣な眼差しで見つめられ、視線を逸らすことが出来ない。


心臓がドキドキと、脈が早く打ちだす。



「あー…、えっと…」


パッと下を向いて言葉を探すが上手く出てこない。



「…着いた」


ユキくんの声に自分が降りる駅に着いたことに気が付く。



今回もユキくんは黙って家まで送ってくれた。



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