キミを想う。
映画の後に少し買い物がしたいという瀬野くんと加穂さんと別れ、ユキくんと先に帰ることになった。
映画の内容を意識し過ぎなのは自分でも分かってるが、どうしても濃厚なラブシーンが頭から離れず、ユキくんの顔を見るのが恥ずかしかった。
電車でもお互い特に会話らしい会話はしなかったが、ユキくんは私と同じ駅で降りると黙って私の家の方向へと進み始めた。
「…ユキくん」
駅から家までの帰り道、段々と薄暗くなってきて街灯が点き始める。
「なに?」
少し前を歩くユキくんを呼び止めると、振り向かず返事が返ってくる。
「今日はありがとう」
ユキくんは本当に優しいひとだと思う。
何も言わないのに気がついてくれた。
「水、交換してくれて嬉しかった」
本当はあの時、映画で変に緊張した私は少し疲れていて、帰ろうかと思っていた。
でも帰れず、体調が悪いのを悟られたくなくて、冷たいソフトクリームなら食べられるだろうと買ったものの、食べるのがしんどかった。