おくる。
おもう



恋をした。


よく漫画とかアニメで見るように、雷に撃たれて恋に落ちたとかでじゃなくて…気がついたら、そう、気がついたら目が、耳が、探してただけって感じ。

始まりは匂いだった。

蒸し暑い真夏、人混みと汗の臭いに揉みくちゃにされながらコンビニに駆け込んだ、あの一瞬。
すれ違いで誰かがそのコンビニが出ていって一秒後、ふと甘い匂いが私の鼻孔をくすぐった。

たったそれだけ。

その匂い引かれて振り向いても、人の群れしか私の目には写らなかった。


思えばあの一瞬から、私は名前も顔も知らない貴方に、恋をしていたのかもしれない。





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