レジェンドは夢のあとに【8/18完結】
アキトは冷静な表情のまま、あたしの首にぎゅっとタオルを当てる。
…こんな大人びた17歳を、見たことがない。
一方しょーごさんは、黙ってワタルに歩み寄った。
「…なんで、ライブは…っ」
「急遽、ケイがソロの曲を一つ入れたんだ。そのあとはMC。10分、ケイが時間を稼いでくれている」
しょーごさんは眉ひとつ動かさずに、そう言い放った。
ワタルが戸惑いの表情を浮かべる。
いつもとは違った、素の声が出てくる。
「何…やってんだよ。プロだろ。なんでそこまでして、この女を…」
「バカ。チアじゃねぇ。お前だよ」
しょーごさんは指を、ワタルの顔の前に突き付けた。
「お前を、連れ戻しに来たんだよ」
「…は…何言って…」
ひきつったように笑うと、ワタルはその場にしゃがみこんだ。
「なにがだよ。さっさと通報しろよ。 …どうせ、終わりなんだ。なにもかも」
「ふざけたこと言ってるんじゃねぇ」
しょーごさんの強い声に、ワタルの華奢な肩がびくっと震えた。