レジェンドは夢のあとに【8/18完結】
「でもキャリアは皆さんよりずっと下なので。ワタルって呼んでください。よろしくお願いしますね!」
ぺこりと頭を下げたワタルに、興味を示したように、林田さんがソファーから背中を起こして言った。
「ワタル、お前、gloomy所属だろ」
「はいっ」
「あんなに音楽強い事務所に所属してんのに、なんでバンド組まなかったんだ」
いきなり業界系の質問をする林田さんにあたしは面食らったけど、ワタルは可愛らしい笑顔でさらりと答えた。
「納得できるメンバーがいなくて、もう事務所を辞めようと思っていたんです」
「…ほお」
林田さんが興味深そうな笑みを浮かべた。
「んで、ウチの話を拾ったわけ?」
「はい。いいバンドになりそうだったので」
楽しそうに答えるワタルに、無言のままだったしょーごさんが「なぁ」と立ち上がった。