君がいたから
「これは・・・?」
「俺が考えた歌だ
 歌詞はかずが考えた
 これをお前に弾いてみて欲しい」

『言葉』か・・・

一通り楽譜に目を通す
これなら、初見でも弾けそうだ
これ以上ごまかすのも無理そうだし・・・

「いいですよ」

そう一言言って
ピアノの椅子に腰を下ろした

ポンっと軽く鍵盤を叩く
ずっと弾いてなかったピアノ
弾けば、父さんや母さんのことを思い出すから
弾こうにも弾けなかった

「じゃあ、弾きますね」
「あ、ちょっとまって
 もう少したらかずがくるから・・・」
「わかりました」

少し経ってから
"ガラッ"とドアが開き
上総が中に入ってきた

「ごめんなさい!遅れました!!」
「大丈夫、俺たちも今来たとこ
 ほら、用意して」
「はいっ!」

上総はそう笑顔で頷いた

そして、鞄を机の上に置いて
ピアノの前に置いてある台の上に載る

「よし、いいよ。青くん」

俺は黙って頷き
ピアノを弾き始める
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