君がいたから

ただ
悔しいだけ
うらやましいだけ

ただ、それだけのこと

「父さん、母さん」

あの日届かなかった手を
もう一度伸ばす
もう二度と届くことのない手を

手を空中で握って
空気を掴んだ手を
そのまま額に下ろしてくる

「俺・・・もう死のうなんて思わないから」

あの後、
生きる理由が見つからなくて
死のうと思ったことが何度もあった

でも、その度に
父さんが・・・母さんが
「死ぬな、生きろ」って
いってる気がして
死ねなかった

「俺は、元気にしてるから
 もう心配しないで大丈夫だよ」

ベットから起き上がりカーテンを開ける


「父さん、母さん
   俺を生んでくれて有難う」



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