君がいたから

上総が先輩にふられて
三日が過ぎた

あの日から、彼女は学校に来ない

先生に理由を聞いても答えてくれないし
林も話を上手くかわす

残るは・・・

「先輩」

いつもの音楽室へ行くと
普段通りピアノをいじっている先輩がいた

「あぁ、青くん、どうしたんだい?」

名前を呼ばれたことに気が付いて
俺の名を呼び返す
もちろん、笑顔で

「上総のこと、聞きたいんですけど」

息を切らして言葉を紡ぐ

「君には関係ないよ」

初めて聞いた
とても冷たい声

「関係ないことなんてないです
 上総は俺の大事な・・・友達なんですっ」

その声に負けずと
大きく怒鳴った

先輩はピアノから離れ
開いていた窓を閉めた

「そうだね、前言撤回するよ
 君には知る権利がある
 だから、真実を教えてあげよう」

そう言った先輩の顔は
どこか悲しそうだった
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