君がいたから

「はいるよ」
「どーぞ」

ドアを三回ノックしてから
言葉を発すると、中から元気な彼女の声が聞こえた

その声を聞いて、俺はドアを開ける

「一昨日ぶり」
「うん、一昨日はごめんね。無理させちゃって」
「大丈夫だよ」

なるべく心配をかけないように
笑顔で彼女に向かっていった
そういうと彼女は、ほっと安堵の息を吐いて
同じ様に笑顔で「よかった」と呟いた

「あのさ、上総」
「ん?」

花瓶の花を取り替えながら呼びかける

「まだ、先輩のこと好き?」

その言葉に
上総が返したのは無言

「俺にしない?」
「・・・・え」

冗談じゃない
コレは本気で

「好きだよ」

たった一言
伝えたくて 伝えたくて
伝えられなかった言葉
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