君がいたから

私は、貴方のことが好きです
ごめんね、こんなこと言って
でも、大好きだよ

何度も励まされて
辛い過去を持っていても
まっすぐに強く生きている貴方が好き

願いが叶うならば
貴方の傍にいたい
けど、もう私には時間が残されていないから
もし、私がこの世界から居なくなったら
私のことを忘れないで、ずっと覚えててください
そうしたら、私は貴方の心の中にずっと生きているから

それが、最期の私の願いです
どうか、お願いします



                   上総より








手紙を全部読み終わり
封筒にしまう
静かな教室に、髪の擦れる音だけが響いた

顔をあげ窓の外を見る

不思議と、涙は出てこなかった

・・・・俺は、全然強く無かったよ
  上総の方がずっとずっと強かった

彼女のが最後に残したわがまま
いわれるまでもない

「覚えてるよ」

空に向かって笑いかける
彼女に届くように

窓から離れ、ピアノのほうへと歩みだす

もうきっと大丈夫だ

あの日聞かせてあげられなかった歌を二曲とも弾こう
彼女に届くように・・・・


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