声がないのなら



「お母さん……」

視界に広がる白い壁を見て
やっぱりそうだなと実感する。

嫌な夢だ。…
だけどお母さんに会える事ができた。

私が声を失う直前まで
お母さん と私は叫んでたんだ。

ねえ お母さん…
私、声まで失ったんだよ?

お母さん…

戻ってきてよ。

隣に置いてあったネックレスを手にとる。写真が目にはいる。
お母さんと、
たぶん隣で笑ってるのは浮気相手。

この二人と私は遊園地のショーに
行った事がある。

私が言うのも変だけど
浮気相手の人は悪い人では
なかった。

優しい感じの人だった。


もう あの頃に戻れないけど。

綺麗に着飾るツリーを思い出していた。



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