大学生、それぞれの恋愛
「香耶ちゃん…、だよね?
なに飲んでるの?」
周りのみんながワイワイ盛り上がっている中、私は一人寂しく隅のほうにいた。
そんなときに声をかけてきた一人の男子。
ゆっくりと顔を上げて、顔を確認するけど、自己紹介のときに聞いたはずの名前は思い出せなかった。
「あ、ごめん。名前…」
「俺の名前?」
私は名前を全然覚えていないことが申し訳なくて、黙って頷いた。
「中津だよ、中津三波(ミナミ)」
中津と名乗るその彼は優しく笑った。