嘆きの天使-ジュニアイドル葵の事情-



「葵ちゃん、おはよう!!

今日は寒いけど、頑張ってね!!」



両手で
私の頬を擦りながら、

二カッと笑う原田さんは

ロングのダウンジャケットを着て、

準備万端というスタイルだった。



私は原田さんから渡された服を持ち
トイレで着替えた。


今まで
着たこともないような、

白のふわふわしたワンピースとコート。


ストッキングも
刺繍が模様され、

可愛い!!と頬が緩んだ。



「あら!可愛い!!

じゃ、このブーツに履き替えて」



原田さんは車から
茶色のブーツを取り出し、

その場で履き替えた。



その姿を見た緒川さんは
腕を組みながら、

「その服は買い取りだから、あげるからね」と言った。



「え?ホントですか!!!」



「おお!
元気で明るい声も出るんだな!!

その笑顔が良いよ!!」



ニンマリとする緒川さんの横で、

車の窓に自分を映した。



こんな可愛い服を
着るだけでも、夢みたいなのに、

貰えるなんて……。



胸躍る感覚って、こういうことかな。



これから辛いことが待っていると自覚している。


でもご褒美に
素敵なものが貰えるなんて、

私のやっていることは一体、何なんだろう。


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