また明日

「さぁ、あそこに喫茶店があるだろう。行きましょう。」
なんなんだろう。初対面で馴れ馴れしい。苦手な方です。

「コーヒー二つ頼むよ。君コーヒー飲めるよね?」
「はい。」

「百合子は何歳ですか?」
「二十三です。」
「僕は二十五です。僕の方が上ですね。」
今すぐにでも抜け出したい。
「真嶋さん…、ではなくてまーさん。あなたわたしに何か用があるんですか?」
「ありませんよ。でもちょっと気になったので。」
「じゃあまたいつか会いましょう。」
やっと帰れる、と思いました。
「ちょっと待ってください。あなた住所は?」
「住所は、ってあなた。なんの関わりもない知らない人に教えられません。」
「分かりましたよ。じゃあどこで働いてるのですか?」
「働いてません。ただ明治大学で学生をしています。」
「分かりました。じゃあ僕の名刺を。」
「帰っていいですね?」
「いいですよ。」
「さようなら。」

帰ってからまーさんの名刺を見ました。名前と会社名だけのシンプルな名刺。大手出版社に勤めていることが分かりました。

いつものように大学に行きました。
授業が終わり、帰ろうとしました。
「永井くん、君に電話だよ。」
先生が駆け付けてきました。
「電話ですか?誰でしょう。」
「真嶋健一郎っていう人だったよ。」
「まーさん!?代わります。」