Hateful eyes ~憎しみに満ちた眼~
痛みに涙が滲み出てくる。
今まで自分が"眼"にかけて来た人達は、こんなにも痛かったのか。

初めて味わう絶望的な死の恐怖。

サラ〔死にたく、ない───〕

嫌だ。絶対に死ぬのは嫌だ。
何より仇も討てずに自分勝手に死ぬのがたまらなく嫌だった。

ウィラという死神が近付いてくる。

───嫌だ。死ぬのは嫌だ。あんなにも残酷で、無価値な死など受け入れたくなかった。

しかし死神は、更なる死を呼び寄せる。

ウィラは自分の胸部の服を眼で破き、外気に晒された自らの胸に手をあてる。

サラの双子の姉ともあれば当然その容姿は美しく、髪から肌に至る全てが芸術といえた。

ところが、ウィラが手をあてたウィラの胸には、深々と、そして決して癒されることのないであろう醜く大きな×印の傷痕があった。
明らかに自然的や事故にではない、"眼"による傷痕だった。

ウィラの足が止まる。

体は動かず、激痛が憎しみを邪魔する。

ウィラが胸に手をあてたままサラに話し掛ける。

ウィラ「覚えてる?あなたが生まれた時、生まれた時の不快感による憎しみに偶然発動したあなたの眼が、周りにいた八人の医師を殺し、私までも傷つけたわ。
あなたの母親は母体だからかなのかわからないけど、無傷だったし、眼を持つ者同士が傷つけ合うと抵抗力が働くようだけど……それでも、幼い私にはこの上ない苦痛だったわ。
赤ちゃんだったのに眼による傷を受けたのよ?その時の傷がどこに付いたかわかる?ここと、ここよ!!!!!!」

ウィラが手で空を×の形に切ると、サラの胸を×印の深い傷がえぐるとともに、血が大量に吹き出た。

サラ「……………………!!!!!!!!!!!!!!!」

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