Hateful eyes ~憎しみに満ちた眼~
あまりに理不尽だ。

神様、私が何をしたというの?

神を憎いと思っても、眼に変化はない。

当然か。

憎まれるとわかっていながらこんな眼を付加する馬鹿はいない。

ということは、この眼は全能の神が付加したものではなく、神ですら予期し得なかったバグのようなものということになる。

どうでもいい。

───要は、この眼で自殺はできないのだ。

なら───。

サラは周りに散らばった酒瓶の別の破片を取り、再び手首に押し当てた。

……目を閉じる。

今までの人生が走馬灯のようにフラッシュバックしていく中、サラは最期の思いを馳せる。

サラ〔私のせいだ……。そうだ、私さえいなくなれば……私が死ねば……!
……………………死んだら、お父さんやお母さん、それにハリーにも……会えるかな……〕

淡い思いは微笑となり、僅かに、ほんの僅かに死にゆく心を和ませる。





───終わろう。                             

私は                   疲れた





閉じていた目を開け、サラは右手に持っていた破片で、左手首の脈を横に切った。       

朱い液体が滲む。


───足音がする。誰か来た。
思った程痛みはない。

今更誰が来ようとも関係ない。私の人生はこの暗く冷たい場所で終わるのだから───。

意識を少しずつ失い始める。
通りに誰かが立ってこちらを見ている。
< 53 / 90 >

この作品をシェア

pagetop