Hateful eyes ~憎しみに満ちた眼~
ストリクトは部屋の整理をしながら淡々とサラに話しかけた。

ストリクト「なるほど貴女の事情はわかりました。私は明日の便でドイツへ発ちます。貴女のパスポートも手配しましょう」

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は?

……もしかして、わかって、ない?

サラに近付くということ、サラの側にいるということが、死と隣り合わせであるかもしれないということを話の中かから読み取れなかったのか。

それをこの女性は、自分からサラに近付いたのではなく、サラが自分についてきたような言い方をした。
サラは変な人を呼び寄せる原因はやはり自分にあるのではないかと思い、今度占いにでも行ってみようかとまた本気で考えてしまった。

サラ「え!?でも、私は貴女とは……」

ストリクト「私の名はストリクト・ヴィアムです。呼ぶ時は敬意をもってストリクト先生と呼ぶように」

ではストリクト先生、ハリー・クルーガーという親戚がいませんか?
という質問が喉から出かかって、サラはすぐに引っ込めた。

サラ「でもストリクト先生、私は……」

ストリクト「貴女の姉とやらも、さすがにドイツまでは追ってこれないでしょう。
貴女の話では学校にもろくに行けなかったそうですね。
貴女には一から勉強を教えて差し上げます。私は大学の講師です。
ええ何も心配はいりません」

サラ「でもストリクト先生、私はまだ十六です。大学なんて───」

突然の提案にわけもわからずオロオロするしかないサラを横目に、ストリクトは次なる爆弾発言を用意していた。

ストリクト「そんなもの、私がいれば問題にすらなりません。私の一言で貴女を特待生にすることもできます。
これはもう私が決めたことです。変更はありません。さあ、今日はもうお休みなさい。明日は早いですよ」

一方的な押し売り、ですら生温い。ストリクトの発案に困惑しながらも、先にベッドに入ったストリクトの妙に生き生きした背中を後に、夜景を見ながらサラはベッドの上で眠りについた。
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