Hateful eyes ~憎しみに満ちた眼~
ストリクト「無理ですね。既に関わってしまいました」

書類に目を戻したストリクトが素っ気なく返答する。

サラ「失礼します」

これ以上この女性に関わってはいけない、と判断したサラがベッドから降りようとした途端。

ストリクト「待ちなさい!!話の途中で席を立つなど言語道断!!!
貴女には充分教育がいきとどいていないようですね。
座りなさい!!!!」

どこから声を出しているのか聞きたい程のストリクトの大声に、サラは鼓膜が破れたのではないかと思って耳を両手で塞いだ。
渋々ベッドに座ると、ストリクトは普段通りの凜とした話し方で続けた。

ストリクト「あの通りで会ったのも何かの縁です。何があったのか話しなさい」

丸い眼鏡のふちから鋭い目がサラを見る。
知らぬ間に事情を話さねばならない雰囲気が部屋中に漂っていた。

サラ〔何なのこの人……〕

いっそ眼の威力でも見せて、怯えさせてから去ろうかと一瞬考えたサラだが、そんな思考もどこへいったのか、気付けば今までの出来事を全て話していた。

サラ〔何だろう……この人には逆らえない……〕

ストリクトの教師としてのカリスマ性がそうさせたのか、はたまた理解されなくとも誰かに話して少しでも楽になりたかったのか定かではなかったが、おそらくその両方が全てを話すきっかけとなったのだろう。

サラが全て話し終わると、ストリクトは何も言わずに書類を整理し始めた。

それはいい。

だがストリクトは書類だけでなく、旅行ケースや鞄などに荷物や書類や着替え、歯磨きセットやバスタオルまでも片付け始めた。
その整理された荷物の中に、ホテルの部屋に置かれていたマッチやナプキンがあることについてはこの際黙っているべきなのだろうか。
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