Hateful eyes ~憎しみに満ちた眼~
初めて見た外国の景気に心打たれたサラは、ドイツはアメリカに負けず劣らずの素晴らしい国だと認識した。



フランクフルト大学に着くと、まずストリクトが荷物を降ろし、自分の茶色い革のバッグを肩にかけて先に歩き出す。残りの荷物はサラが持てという意思表示らしい。

重い荷物を千鳥足で何とか持ちながらストリクトの後をついていくサラは、広大な土地を持つ大学を見回した。

緑に囲まれたフランクフルト大学は、都市の側にあるにも関わらず中々静かで、様々な建物があり、まるで一種のテーマパークのようだった。

このフランクフルト大学は、工学・情報・建築など様々な学科があり、建物一つ一つがその研究棟である。

ストリクトに急かされてある建物に二人は入って行く。

建物内は外とはうって変わって熱気があり、大学生で溢れていた。

キャンバスメイト同士仲良く話す者。何やら忙しそうに走り回る者。パソコンとにらめっこしている者など、多種多様な学生がいっぱいだった。

エレベーターに乗り三階まで上ると、エレベーターのドアが開け、三階のエレベーターホールが目に飛び込んできた。

ホールは円筒型になっており右側に東棟、左側に西棟がある形になっていて、エレベーターの真向かいには、大学のほとんどの建物を見渡せる綺麗な窓がある。

ストリクトが進むのは東棟で、サラも後に続く。

真っ直ぐに続く東棟の廊下は右側がこれまた壁の変わりにガラス張りで、左側に教室があるといった感じだ。この分だと、西棟は対称的な設計になっていることだろう。

重い荷物を何とか胸の高さまで両手で持ち上げ、目の前を歩くストリクトの後についていく途中、サラはちらっとだけ教室内を覗いてみる。

この棟だけ授業が無いのか、どの教室にも誰もいなかったが、教室はどこもきれいに手入れされており、ピカピカな床は教室にある全ての器具を映し出していた。

窓の多い入り口側にある大きな黒板を中心に扇型に長い机と長い椅子が並べられ、壁や床は淡い空色で染められている。

目的の教室に着いたのか、入り口の引き戸の取っ手に手をかけたストリクトが、荷物を入口付近の床に置くよう指差し、サラはようやく重たい荷物持ちの役目から解放される。

この年でなんだが、腰がイタイ。

腰痛から逃れようと腰を少し捻るサラにストリクトは目で「入りますよ」と合図し、中から少数の人の声が聞こえる教室の戸を開けた。
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