Hateful eyes ~憎しみに満ちた眼~
戸が開けられると、他の誰もいなかった教室にはなかった、たくさんの蛍光灯の光が飛び込んできて刹那、目の前が眩しくなる。

そこは、確かに『教室』だった。
人のいない教室と違い、人同士が楽しそうに語り合っている情景はどこか安心できた。

元気いっぱいな女子生徒が、別の生徒と話している途中で来訪者に気付いて近付いてきた。

女子生徒「おかえりなさいストリクト先生!」

一人目に続いて二人、三人と生徒が集まってくる。

背の高い男子生徒がストリクトに明るく話しかける。

男子生徒「カリフォルニアはどうでしたか?」

ストリクト「とても楽しかったですよ」

素っ気なく答えるストリクトの周りには、いつの間にか教室にいた4~5人の生徒全員が集まっていた。

ストリクト「マーク。あなた、それよりも論文は出来上がっているのでしょうね?」

生徒達の中心にいるのは、もはやさっきまでサラと一緒にいたストリクトではなく、元の冷淡で手厳しい教育者としてのストリクトだった。
冷たい眼差しで射抜かれたマークと呼ばれた男子生徒は縮み上がり、しまったという顔で弱々しくストリクトの機嫌をとるように答えた。

マーク「えっ?あ、いえ、その、まだ、ちょっと……」

へらへらと笑っているところをみると、何とかごまかして話題を変えようとしているらしい。

事実マークはストリクトから与えられた課題の論文を書いていなかった。

ストリクトにはバレているだろうが、それでも何とか見逃してもらおうと、処刑台の首切り人が振り下ろす斧の時間を少しでも長く引き延ばそうとして───。

ストリクト「では百倍にして私に提出すること。いいですね?」

瞬殺。

とはまさにこのことを指すのだろう。
処刑人の斧が首を切るより疾く、ストリクトの一言が罪人を一刀両断した。
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