Hateful eyes ~憎しみに満ちた眼~
長身に長い髪なのは影だけでも充分わかる。

ステージの煙が段々晴れていく。

シルエットの人物の頭から明らかになる。

前髪の金色はライトによって色鮮やかに。

そしてついに最後にエントリーした人物の全貌が明らかになる。

マーク&リック&ピーター&ジェシカ&ナタリー「「「「「は!!!!!!??????」」」」」

驚愕は五人分。
それはカラオケサークルの五人。

色とりどりのライトに照らされ現れたのはまさにアイドルと呼ぶに相応しい容姿の女の子。

ステージに立っているのは紛れもなくサラ・フィーラスその人だった。

だが。

サラなのはサラなのだが、どこかがいつもの彼女とは明らかに違った。

まず、正午以前のサラが着ていた白いとっくりセーターに、これまたヒラヒラの、上と同じ白いスカート。

それがまず、跡形もないほどサラの肌から離れていて、代わりにサラは───。



会場にいた誰もが目を疑った。

その有り得ない現実に。

その美しい肢体に。

例えるなら、そう。女神。ミスコンの最後の参加者として参加した女神は───。



ピチピチした競泳用の水着をバッチリ着こなしていた。



………………死にたかった。

顔から火どころか炎が噴き出そうだったサラは、まともに顔を上げることができず、俯いて黙っていた。

会場から爆弾のような歓声があがる。

もちろん、九十九.九パーセントは男性。

サラより以前に出場した参加者達も随分キワドい衣装に身を包んでいたが、このシチュエーションはそんな小賢しい見かけだけの色気を嘲笑うものだ。

勝負にすらならない。
次元が違う。

来場していた男性客も男子生徒も、そう思わずにはいられない。

今にもはち切れんばかりの薄い皮の水着にあのプロボーション。
放送コードにギリギリ引っかかりそうにないその現状は、女神が恥じらっていることで余計かつ格段に破壊力を増している。

学園のアイドル(仮)が、この秋空の下、季節外れの競泳水着を着てコンテスト会場に現れたのだ。

もはや核弾頭が落とされようと、ゴ◯ラが出現しようとも、この会場の熱気が治まることはないだろう。
< 79 / 90 >

この作品をシェア

pagetop