Hateful eyes ~憎しみに満ちた眼~
……………死にたかった。とりあえず死んでおきたかった。

今のサラのこの激しい願望は、あの袋小路での思いをあっさりと凌駕していた。

皆好き勝手言っている。

こっちの気も知らないで。

───お父さん、お母さん。
ごめんなさい。
あなた達の娘は今、とても淫らな格好をして衆目に晒されています。

ああもう恥ずかしさで圧死しそう。
きっと皆思っている。
「あんないやらしい格好でミスコンに出るなんて、変態女だ」

いやせめてビキニでなかったのがせめてもの救いだった。

泣きそうになっているサラを見かねて司会の女の子が早めに引っ込めてくれた。

ステージ裏でのろのろと着替えていたサラの耳に司会者の言葉が入ってくる。

「さ、さあ、ただいま皆様から回収させていただきましたミスコン投票アンケートの結果がでました!
それでは発表いたします。本年度のミス・フランクフルト・コンテスト!映えある一位は───」





学園祭ミスコン運営委員が控え室にサラを呼びに行くと、控え室の机の上には置き手紙が一枚。
手紙には───。

「捜さないでください  サラ・フィーラス」

とだけ書いてあった。






ナタリー「凄いよ!優勝した本人が居ないから会場混乱してるけど、ミス・フランクフルトだよ!?」

大学で一番高い社会棟。
その屋上の貯水タンクの上までよじ上ったナタリーは、膝に顔を埋めたまま黄昏れているミスコン優勝者に声をかけた。

ナタリー「……サラ?大丈夫アンタ」

サラは顔を上げるとナタリーに微笑んだ。
まだ恥らいが残っているとはいえ、それが作り笑いだというのはナタリーにもわかる。

サラ「うん……。大丈夫」

ナタリーはタンクの上に上りサラの隣に座ると少し間をおきサラに聞いてみた。

ナタリー「アンタさぁ……。無理してない?」

サラ「……ホントはしてる。だってさ、皆勝手ですよ。勝手に騒いで、勝手に決めて、勝手に……」

ナタリー「うん。確かに皆勝手なところもあるよね。アンタの意思も聞いてないもんね。でもさ、実際すごいことだよミスコン優勝って!
……って、ちょっと待って。勝手に決めてって、アンタ自分で立候補したんじゃないの?」

サラ「立候補なんてしませんよ!!あんな卑猥な水着まで着せられて!!!」

つい大声で叫ぶサラを見てナタリーはたじろいでしまった。
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