Hateful eyes ~憎しみに満ちた眼~
サラという人間の人生において、自分を好いてくれる人間がいることはとても嬉しいことであるとともに残酷な仕打ちでもあった

自分に関われば必ず姉に狙われる。
いや、そんなこと関係なしに、もう失うことが怖かった。

失うことの悲しさと恐ろしさを、この世の誰より理解しているから。

でも求めてしまった。

だからこそ失いたくなかった。

でもたった数分前に自覚した。

自分は化け物なのだと。

一生人とは相容れぬ種なのだと。

それらを自認し受け入れた時点で、告白による愛を抱き締めれば今度こそ終ってしまう。

やっと手に入れた。

今自分は充分幸せなのだ。

怪物である自分が、永遠に失ってしまった場所の代わりに、唯一安寧の場所としてくつろげる居場所がここなのだ。

そんな恵まれた環境でこれ以上贅沢を言えば、バチが当たる。

だからこそ幸せを手に入れた時、幸せはもろ刃の剣となって深く深く心に突き刺さる。

失った時の絶望感が万倍にも億倍にもなる。

しかしながら、そんなくだらない理屈以前に。

サラには初めからマークの想いは受け止めることができなかった。

最愛の人がいた。

ただ一人、この残酷な世界で愛した人が。だから他の人の熱意に応えることはできない。

他の人の想いに応えるのは、愛する人に対する裏切り行為に他ならないという固定概念があった。

私が愛したのは一人だけ

もうこの世にはいないけど。
それでもこの思いは。
死ぬ時まで抱き締めていたい……。

サラ「ごめんなさい。本当に嬉しいけど……」

顔を上げたサラの表情には、こんな時にも美しく流れる涙と、淡く切ない、哀しい笑顔があった。

サラ「私には……大切な人がいて……もういないんだけど………ごめんなさい。
うまく言えないけど……その人のこと、忘れられなくて……。
………………あ、でも、あの、ずっとお友達でいいなら、こんな私だけど……」

マーク「あ……うん」

サラはそれだけ言うと走り去って行った。

サラの哀しそうな雰囲気に圧倒され、マークは下手な言葉しか返せなかった。
去って行くサラの背中は、見えなくなるまで淋しげだった。





次の日。

サラ「あ、マークさん。先週のサークルの活動費なんですけど───」

昨日の事など何事もなかったように、サラはマークに話しかけてきた。

言葉通り、”お友達”として接してきた。
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