花霞む姫君
あ、ヤバい。
私、パジャマのまんまだ。

まゆみちゃんはまだいいけど、翔太は…

と思う間もなく、二人はリビングへ入ってきた。


「花澄、起きてて大丈夫なの?」
と、まっさきにまゆみちゃんが飛びついてきて、私のおでこに触る。

「うん…まあ…」

でもまゆみちゃんは熱を測ったわけじゃなく、私のおでこのあざの様子が気になっているのだ。


「…大丈夫か。」

翔太がボソッと言った。

「…まあ。」

それ以上、言葉もない。


何で翔太が来たんだろう。
しかもまゆみちゃんと一緒にだなんて。
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