xxxFORTUNE
みんなのことを知れて、よかった。
「みんな、最初の時より心を開いてくれたわよね」
話しかけてくれるし、笑いかけてくれる。
それから、優しくしてくれる。
「当たり前になってきてたから、すずがいなくなるのは寂しいな」
あたしも……。
そう思うけど声にはできなくて、ただ頷くだけ。
寂しいと言ってしまえば、それこそ自分がエシャルから逃げている気がして。
それでも里音は、あたしの頭に手を置いて慰めるように囁く。
「また会えるといいな」
なんの根拠もない、いたいけな願い。
また会える可能性は、どのくらいあるんだろう。
「誠が言ってたこと、オレはよくわかんないけど、あんまり無理するなよ」
「………うん」
「何かあったら、オレに言えよ。
オレはいつだってすずの味方だからな」
ありがとうと一言告げて、ベッドから立ち上がる。
座ったままの彼に、精一杯笑ってみせて
「里音って、お兄ちゃんみたいね」
肩をすくめて言ってから、おやすみと部屋の扉を閉めた。