xxxFORTUNE
◇
「あ、ヒメ。
……どうしたの?」
月明かりの漏れる窓の前に立って、外を見ていたらしい佐久間さん。
柔らかな光であふれた部屋。
ノックもせずにドアを開けてしまったあたしに気づくと、目を丸くして。
「ちょっとお話しましょ?」
「うんいいよ、でもヒメ悲しそうな顔してる」
2人で窓の前に並ぶと、空からの光でお互いの表情が見えやすくなった。
「今夜は流星群が見えるんだって」
「流星群?」
「流れ星のことだよ。
流れ星が消える前に、お願い事を3回唱えると願いが叶うんだって」
キィッと鈍い音を立てて窓を開けると、ちょこっと窓の外に頭を出す。
数分待てば流れるからという佐久間さんの言葉を信じて、しばらく空を見つめてみた。
「「あっ」」
ほとんど同時に、無意識の声が零れ落ちる。
「今のが流れ星?」
暗闇の中を、すっと光が横断する。
長いように思えて、実際は本当に一瞬。
初めて見たから、確信が持てずに確認してみる。
「そうだよ、すぐ消えちゃったね」
どう考えても、流れ星を見つけた瞬間に3回も願い事を言えるわけがないわ。
前もって、唱えることを決めておかなきゃ。
「佐久間さん、あの一瞬でお願い事言えた?」