xxxFORTUNE









「あ、ヒメ。
……どうしたの?」

月明かりの漏れる窓の前に立って、外を見ていたらしい佐久間さん。

柔らかな光であふれた部屋。


ノックもせずにドアを開けてしまったあたしに気づくと、目を丸くして。


「ちょっとお話しましょ?」

「うんいいよ、でもヒメ悲しそうな顔してる」


2人で窓の前に並ぶと、空からの光でお互いの表情が見えやすくなった。



「今夜は流星群が見えるんだって」

「流星群?」

「流れ星のことだよ。
流れ星が消える前に、お願い事を3回唱えると願いが叶うんだって」


キィッと鈍い音を立てて窓を開けると、ちょこっと窓の外に頭を出す。


数分待てば流れるからという佐久間さんの言葉を信じて、しばらく空を見つめてみた。



「「あっ」」

ほとんど同時に、無意識の声が零れ落ちる。


「今のが流れ星?」


暗闇の中を、すっと光が横断する。

長いように思えて、実際は本当に一瞬。

初めて見たから、確信が持てずに確認してみる。



「そうだよ、すぐ消えちゃったね」


どう考えても、流れ星を見つけた瞬間に3回も願い事を言えるわけがないわ。

前もって、唱えることを決めておかなきゃ。



「佐久間さん、あの一瞬でお願い事言えた?」






< 240 / 300 >

この作品をシェア

pagetop