xxxFORTUNE



普段無愛想な愛琉さんが優しくなるのは不思議。

それと同じくらい、普段優しい里音が笑わなくなると怖いし不思議。


今日は、2人とも変だわ。


「全部あなたのせいですよ」

心を見透かしたように、まだドアの横にいた誠の声。


「あたしのせい?」

「はい、その通りです。
あなたが無茶苦茶なことをするから、それぞれが心配しているんです」


お説教するみたいに言われ、肩を落とす。


「それから、さっき落ち込んでましたけど、別に明日が最後になるとは限りませんよ」


本当に、心が読めるのではないかと疑ってしまう。

誠が言いたいのは、きっと“今度からは”についてで。


里音が言ってた。

今度からは、電話するようにって。

それを聞いた瞬間、今度があるかもわからない不安が、胸いっぱいに押し寄せてきたの。


「そんなに人間界にいたいなら、掛け合ってみてはどうですか」

笑みをたたえた誠の提案に、あたしは力強く頷く。


「もちろん、そのつもりよ」


決意はした。

すでにできてる。

だから、この気持ちを、明日ぶつけようと思うの。

ただ正直に───‥






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