xxxFORTUNE
◇
身支度を整え、準備万端。
すっかり自分好みに仕上がった自室を出て、玄関へと向かう。
時刻は正午。
街に着いたら、まずはお昼ごはんを食べる予定なの。
急いで玄関まで来ちゃったけど、なぜかまだ2人の姿がない。
ひょっとしたら、のんびりなのかもしれない。
とりあえず靴を履いて外へ。
辺りを見回していると、そこにふと愛琉さんを見つけた。
「遠くなんか眺めて、どうしたの?」
そっと近づいていって声をかけると、こっちを見ようともしない。
「別に」
「それじゃあ会話にならないわ」
ここまで無愛想なのも、返って不思議になってくる。
あたしだけにならともかく、ずっと一緒に住んでるみんなにも冷たいし。
………ん?
“ずっと”?
「愛琉さん、みんなって小さい頃からずっとこの洋館で暮らしているの?」
自分で思いついたことに、すごく違和感を覚えて。
小さい頃からずっと暮らしていたなら、みんなの家庭はどうなっているの?
「意味わかんねぇこと聞いてんじゃねぇよ」