xxxFORTUNE









身支度を整え、準備万端。

すっかり自分好みに仕上がった自室を出て、玄関へと向かう。


時刻は正午。

街に着いたら、まずはお昼ごはんを食べる予定なの。


急いで玄関まで来ちゃったけど、なぜかまだ2人の姿がない。

ひょっとしたら、のんびりなのかもしれない。


とりあえず靴を履いて外へ。

辺りを見回していると、そこにふと愛琉さんを見つけた。



「遠くなんか眺めて、どうしたの?」

そっと近づいていって声をかけると、こっちを見ようともしない。


「別に」

「それじゃあ会話にならないわ」


ここまで無愛想なのも、返って不思議になってくる。

あたしだけにならともかく、ずっと一緒に住んでるみんなにも冷たいし。


………ん?

“ずっと”?



「愛琉さん、みんなって小さい頃からずっとこの洋館で暮らしているの?」

自分で思いついたことに、すごく違和感を覚えて。


小さい頃からずっと暮らしていたなら、みんなの家庭はどうなっているの?


「意味わかんねぇこと聞いてんじゃねぇよ」






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