xxxFORTUNE
より一層不機嫌に言われ、視線は自然と下を向く。
頭上からは、盛大なため息。
「全員、ここに来た時期はバラバラだ」
耳に届いたのは、風にかき消されてしまいそうなくらい小さな声。
「バラバラ……?」
最初から一緒に住んでいたわけでは、ないってこと?
「すず、ごめん待った?
誠がなかなか準備終わらなくてさぁ」
話の続きは、やっとのことで集合できた恋千くんに遮られる。
いつもそうだわ。
核心に迫っている時に限って、途中で話が終わっちゃうの。
「僕の準備が遅れたのは、あなたが部屋を散らかしていったからでしょう」
「俺はただ、誠が今日持っていく本を選んであげようと思って」
言い争いが始まる予感。
いいえ、もう始まっているのかも。
「あっ、愛琉さん、」
関わりたくないとでも言うように、早々に立ち去ろうとする人1名。
別に、一緒に出かけるわけじゃないから引き止める理由もないのだけど。
話の内容が内容だったし、気になってしょうがない。