或る一人の悲しい男の物語
物語は童話から始まる

「今日は何をお話してくれるの?おばあちゃん」
 年老いた祖母は布団から顔を出す僕に、いつも寝る前に絵本を読んでくれた。すると祖母はいつも目を細めて、
「今日は少し難しいかしら?でもあなたならもう分かるわよね」
 そう言うとベッドの横に三脚椅子を持ってきて、絵本を開いた。
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