Secret Garden!!〜オトコだらけの秘密の花園〜



「…あんたの泣きそうな顔も、不安そうな顔もいいけどさ。やっぱり、陽依は騒いで俺に噛み付いてくるぐらいが一番いいと思うよ?…だから、笑って。」


そっぽを向いた棗さんの言葉に、私はさらに泣いてしまって…
棗さんは困ったように鼻の頭を掻いた。




「…泣き止まないと、そのアホずら、撮って引き延ばして玄関に飾るよ?」

そう言ってぐしゃぐしゃと私の頭を撫で回して、ぽんぽんと私を叩くと、棗さんはくるりと方向を変えた。




「…あんたの真っすぐで不器用なとこに救われた。だから、ありがと。…明日になってもうじうじしてたら、本気でアホずらの写真引き延ばすから。…おやすみ。」

月明かりで黒のシルエットが浮かび上がった棗さんの後ろ姿が、ひらひらと右手を動かしながら寮の方へ消えていった。






この痛みも、次の私に繋がるんだろうか。
この痛みが、未来の私を造り上げるんだろうか。

ズキリと鈍く痛む胸の辺りの服をぎゅっと握り締めて、私は青白く光る月を見上げた…──









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