Secret Garden!!〜オトコだらけの秘密の花園〜


雫が頬を伝っていく。
私はあわてて目元をごしごしこすった。


「ごめん、なんでも…」

声が震える。
夕都のこと、困らせたいわけじゃないのに。
勝手に泣かれたって、きっと迷惑なだけだよね…。




「陽依…」

私の名前を呼ぶ夕都の表情は、やっぱり曇っていた。




「はは、私、涙腺脆くてさー…」

ムリに笑ってそう言うと、頬に添えられた夕都の手か、私の顎に触れた。




「…夕都?」

「……。」



顎をそっと持ち上げる夕都の、スラリと伸びた指先。
私を見つめる夕都の顔からは、感情が読めない。
なに…?

近づく夕都の顔が、スローモーションのように見える。





「ゆう…っ」






リゴーン…
リンゴーン…


…唇が触れそうになった瞬間、午後7時を知らせる鐘が鳴った。






「…っごめん…。」

瞬間、夕都がパッと手を離す。
そして、そのままくるりと背を向けて、夕都は東屋を去っていってしまった。







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