繋ぐものと、確かなこと。
悪びれもなく、先程呼び出しにきた付け回しをレイナは喚きながら元気よく指差した


客が来たから呼び出しただけのものを、仕事をして悪者にされちゃ堪ったもんじゃない。



黒服の苦労も大体わかる。




鈴木は相変わらず一人で勝手に酔っ払っていて、既に先程の嬢とは違う嬢が付いていた


そしてやはり近距離で酒臭い息を吹き掛けられながら絡まれていた






金が絡んでるから、嬢は必死で笑顔を作る。
そして平静と、空気を保つ。



自分をひたすら殺す
自尊心など、等にない筈。

裏腹なことを口で言い、望まない行動を心掛け、味もわからない酒を飲む。



キャバ嬢は女優なのだ



正しく"キャスト"の名の通り




そして俺はそんな"キャスト"の存在が、素人の女よりもずっと良いのだ





「…あの〜お邪魔してもいいですか」





刹那、か細い声が耳に届き


顔を上げると、棒立ちでだらしなく立っている一人の嬢の存在に気付く



「あ…ごめん、気付かなかった」



「…」




黒い髪は顎の長さで切り揃えられ


切れ長の黒々とした目とは対照的に肌は大変白く


整い過ぎた目鼻立ちは口説くのを遠慮してしまう




容姿も含め少し愛想の悪い印象は、なかなかこの仕事には向いていない気がした







(なんでこんな子がキャバで働いてんの?)







それが"お前"に抱いた第一印象











…そして俺と"マナ"の初顔合わせだった。
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