ONLOOKER Ⅲ

全部



そんな事のあらましを聞いて、直姫が放った第一声は、こうだった。

「嫌じゃないですか? 聞かない方がいいことまで、聞こえちゃったりして」

優れた、を通り越して、異常なほどの聴覚を持つと知った、恋宵に対しての言葉だ。

耳がいいというのは昨日も話していたばかりだが、そこまでとは考えなかったのだろう。
思えば今までにも、彼女には超能力でもあるのかと疑うような出来事がいくつかあった気もする(そして、この人ならそれも有り得ないことではないかもしれない、と思わせるのが、恋宵である)。
夏生ほどではなくても、どことなく色んなことを見抜いているような素振りもあった。
里吉の狂言誘拐事件の時に、声で准乃介と真琴の居場所に気付いたのも、恋宵だった。



< 189 / 208 >

この作品をシェア

pagetop