ONLOOKER Ⅲ
閑話休題

歌う少女と、少年




その日生徒会室には、何の音もなかった。

当然といえば当然だ。
昼休み、件名に『Fw:』と入ったメールが生徒会役員の携帯電話に届き、今日の生徒会活動は事情により中止、という旨が確かに伝わったからだ。

本来ならばきちんと校内放送を通して行わなければいけない連絡だが、声だけで悲鳴に近い歓声があがってしまい、肝心の放送内容が聞き取れないという事態が起こるようになったので、最近はメールで済ませがちなのだ。
事情というのも大したことではなく、恐らく用事や仕事で顔を出せる人数が少ないから、という理由だろう。


そんな誰もいないはずの生徒会室に、今は2つの人影があった。


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