ONLOOKER Ⅲ


なににも関心がないように見える直姫の、唯一と言っていい趣味が、映画だ。

人に語るタイプではないので、どういう基準で観ているのかは、よくわからない。
けれどきっとこういう話やこの監督や脚本が好きなのだろう、というのが、読んでいる記事や観たと言っていた映画のタイトルなどで、真琴にも少しわかりつつある。

最近お気に入りらしい脚本家についての特集記事を、今直姫はとても退屈そうな表情で眺めていた。
彼女がなにか考え事をしているように見える時は実はなにも考えていなくて、物凄くつまらなそうな顔をして見える時には、実はあってないようなわずかな興味を示しているのだと気付いたのは、ごく最近のことだ。

言うことも捻くれているが、表情まで天の邪鬼なんて。
面白い人だ、と常々思っているのは、直姫には秘密である。

真琴は、「もう」と唇を尖らせた。


「直姫、いっつも人の話聞いてないよね」
「うん」
「ねぇ、お腹空いたね」
「……大丈夫だと思うよ、准乃介先輩のことだし」


真琴は思わず、直姫の顔を見た。

聞いているなら聞いているような仕草をすればいいのにと、いつも思うのだ。
それも個性と言われればそれまでだが、きっとせっかちな人間には彼女の友人は務まらないだろうと、苦笑いを零した。


「なんだ、聞いてるんじゃん」
「失礼だな。ちゃんと聞いてるよ、いっつも」
「えー、嘘だぁ」


どうやら自分は、よほどののんびり屋らしい。

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