初恋の夢
奇跡
彼女と話を止めフラフラと歩いた。

街を歩くと色々な人に出会う。
知らない人ばかりだけど。

たまに知ってる人に出会ったりもする。


「誰か探してるの?」


余りにもキョロキョロしていたのだろう。
彼女は不思議そうに尋ねて来た。


「誰も探してないよ。」


私は誰も探していない。
そう言い聞かせてる・・・

本当は顔すら忘れた彼を探している。
同い歳ぐらいの男の人を自然と確かめてる。
ボンヤリとしか記憶にない彼と照らし合わせてる。


「・・・あんたさ、キョロキョロするのも良いけど、危ないからね。」

「そうだね、これでこけたら子供みたいだよ。」

彼女は優しいと思う。
分かってるんだろうと思う。
私が彼を無意識に探しているのを。
それを分かってて違う話題で止めさせる。

「あんまし、キョロキョロしてると田舎者みたい。」

「田舎者は酷いよ。」

ほら、彼女は優しい。
彼女の一言で私は笑っている。

ありがとう。

言えないけど、毎日思ってる。

けど、ごめんね。
私、奇跡をまだ信じてる。

いつか彼に逢えると信じてる。
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