私立聖ブルージョークス女学院
 そうしたらちょうど行きついた教室で、生徒主催の喫茶店をやっていた。後ろからポンと肩を叩かれて振り返ると、綾瀬先生が立っていた。
「あら、先生。偶然ですわね。よかったら、そこのお茶をご一緒にどうですか?この企画は毎年けっこう評判なんですよ」
 ううむ、本当に偶然か?まあ、それはいい。確かに喉が渇いているから、渡りに船というやつだ。
 ドアの横の受付の机で前払いをするシステムのようだった。僕と綾瀬先生の前に二人組の他校の女子生徒が並んでいたが、料金表を見ながら妙に長い時間考え込んでいる。
 その間教室の中をのぞいて見ると、制服に白いエプロン姿のうちの女生徒たちがウェイトレス役をやっている。僕は少しホッとした。てっきりメイドカフェでもやっているかと心配していたからだ。
 しかし僕は別な意味で驚いた。そこで使われているティーカップや食器全てが金銀で縁取りをし、色鮮やかな模様が描かれた超高級品ばかりだったからだ。ブランドとかは分からないが、ヨーロッパあたりの超一流ブランドなんだろう。いやはや、文化祭の喫茶店までがこうもセレブ仕様とは。
 やっと前の女の子たちが注文を決め、僕と綾瀬先生は受付の前に進んだ。そこに座っていたのは名取千尋だった。よかった、この子は割と庶民派だからこれ以上驚かされる事はなさそうだ。
 机の上のメニューを見ると、紅茶一杯500円とあった。まあ、安いとは言えないが、このお嬢様学校にしては良心的な値段だろう。
 と思って綾瀬先生を見ると、メニューをじっと見つめながら前の女の子たちと同じようにえらく真剣に考え込んでいる。ふと横から見ると、普通の値段の横に「美人料金」と書かれていて、同じ紅茶がそっちは一杯千円。なんだ、これは?
< 21 / 38 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop